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投稿日:2017年07月01日 更新日:2023年06月14日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
多くの介護施設では、看護士不足もあって、看護士の仕事を介護士が担当することが増え、看護士と介護士の区別がつかなくなってきています。
本来、医療行為ができるのは看護士。医療知識のない介護士が看護士の仕事を担当することはできないはずですが、現実的にはそうもいっていられない状況です。
また、少子高齢化が進むにつれ、医療と介護の連携を深めた在宅医療へ重心が移ってきています。しかし、リハビリひとつとっても医療関係者と介護関係者の間の認識の隔たりが大きいのも事実です。
厚生労働省は、平成30年に予定されている6年に一度の診療報酬と介護報酬の同時改定に合わせて、医療と介護の連携をさらに強化しようと計画しています。
将来、利用者となる方にとって、医療保険と介護保険は何がどう違うのか?上手に利用するためにはどうすればよいのか?など、今から理解を深めておきたい分野です。
介護度の高い高齢者を受け入れている介護施設などでは、医療と介護の境目がわかりにくくなっています。
バイタルチェックは看護士、日常生活の介助は介護士、とそれぞれ本来の仕事は分かれているはずですが、介護施設での看護士不足という事情もあり、介護士が看護士の仕事を担当する場面が増えてきています。
医療は病気や怪我を直すこと、治療・回復の手助けが目的です。一方の介護は、快適で安全な生活を送ることができるように介助することや、身の回りの世話をすることが目的です。
個人の生活を尊重する介護に対して、元通り元気になって退院することが目標の医療では、根本的に考え方が違うのです。
種別 | 医療 | 介護 |
資格 | 看護師・保健師・救急救命士・視能訓練士・理学療法士・作業療法士・柔道整復師・義肢装具士など | 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・ケアマネジャー・ホームヘルパーなど |
目的 | 病気や怪我を治すこと 病気・怪我を治すための手助け | 快適な生活になるような介助 身の回りの世話 |
目標 | 元に戻り退院すること | 個人の生活を尊重すること |
保険 | 医療保険 | 介護保険 |
たとえば、要介護3以上が入居条件の特別養護老人ホームの場合、介護に重点が置かれているため、本来は医療ニーズが高いにも関わらず、入所者100人あたり医師1人、看護士3人という職員の配置基準です。夜勤の看護士はゼロでも良いのです。
定員が100人未満の特別養護老人ホームでは、医師が非常勤ということもよくあります。
介護度の高い高齢者が入居する介護施設において、医療ニーズは非常に高いはずですが、介護保険法が定める職員の配置基準では、圧倒的に医療従事者が少ないというのが現実なのです。
根本的に考え方の異なる医療と介護の違いを、訪問看護を例にとって比較してみましょう。
病気や障害を持った人に対して、医師の判断によって看護士等が訪問するのが訪問看護です。
在宅医療の一部として認識しておられる方も多いと思いますが、訪問看護には、医療保険から支給されるものと、介護保険から支給されるものと2種類あります。
医療保険による訪問看護の場合、主治医により訪問看護が必要だと判断された患者が利用者となります。
介護保険による訪問看護の場合は、65歳以上で要介護・要支援の認定を受けている方か第二号被保険者が利用者になります。
種別 | 医療保険 | 介護保険 |
利用条件 | 介護保険の対象外で、末期の悪性腫瘍・難病・人工呼吸器など、主治医により訪問看護が必要だと判断された患者 |
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保険料 | 各世帯の世帯主 | 40歳以上全員 |
支給限度額 | なし | 介護度によって支給限度額が設定されている |
自己負担額 | 利用額の1~3割 | 利用額の1割 |
利用時間 | 一回の訪問で最大90分まで | 一回の訪問で最大90分まで |
回数 | 週に1~3回まで | 支給限度額で収まる回数まで |
手続き |
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原則として、医療保険と介護保険の併用は認めらません。しかし、次のような場合には、医療保険と介護保険を併用することが可能です。
医療を受けるときの診断名と、介護を受けるときの診断名が異なっていれば、介護保険適用の介護サービスを受けながら、別の診断名で医療保険の保障も受けることが可能になります。
診断名が同じ場合には、月が変わると認められることがあります。
前月に医療保険が適用される訪問看護が終了し、翌月から介護保険を利用した訪問看護を受けるような場合です。
診断名が同じなので、同月に2種類の保険の保障を求めることはできませんが、月が変われば保険から保険へと、その保障が認められます。
介護保険の訪問看護を受けていた利用者が末期がんになった場合には、これまで通りのリハビリなどを受けながら、医療保険による治療や訪問看護が認められます。
医療目的の場合は医療保険、医療目的以外の場合は介護保険、というのが大原則ですが、それぞれの保険制度を理解すれば、上手に利用することが可能になります。
訪問看護は在宅医療の一部ですが、在宅で医療や介護を受けられるようになってきたのは2012年の医療保険・介護保険の同時改定からです。
少子高齢化がすすむ日本において在宅ケアは不可欠という厚生労働省の認識から、「医療と介護の連携」を目標に掲げ、患者・利用者が入院→退院→在宅ケア・復帰を、切れ目のない一連のサービスとして受けられるようにしようというのです。
医療においては、病気と共存しながら生活の質(Quality of Life)の維持・向上の必要性がある一方、介護においては、重度の要介護者や認知症高齢者が増加するにつれ医療ニーズが高まっているのです。
具体的には、医療の現場である病院に認知症高齢者が入院していたり、介護度の高い患者が入院していたりすることが増えてきました。また介護施設でも、高齢化にともなう病気を抱えた要介護・要支援の利用者が増えてきています。
これまでのような、「医療=治療」「介護=介助」という考え方だけでは、患者・利用者に対して適切なサービスを提供できなくなっています。
人間的な生活を臨終のときまで続けるために、医療と介護はどのように連携していけばよいのかという点が、今まさに問われています。
厚生労働省は、「医療と介護の連携に関する意見交換」を平成29年3月22日と4月19日に開催しています。切れ目のない医療と介護のサービス提供に向けて、診療報酬と介護報酬との連携および調整をどうするのか、現状や課題を明確にすることを目的に開催されました。
医療と介護の連携に関する意見交換(第1回) 議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000155666.html
医療と介護の連携に関する意見交換会(第2回)議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000162533.html
意見交換では、リハビリを医療保険の扱いにするのか、それとも介護保険の扱いにするのかが疾患別に議論されましたが、意見の食い違いが見られる場面もあったようです。
平成30年度には、6年に一度の診療報酬と介護報酬の同時改定があります。
関係者の間では、団塊の世代が75歳になる2025年を目前とした時期でもあり、医療と介護の連携に向けた改革の大きな節目と見ています。
リハビリを医療とするのか、介護とするのか、さまざまな論点があります。
医療保険でのリハビリは、治療や訓練による機能回復が目的です。疾病別にリハビリが行われるほか、リハビリを受けられる日数に制限があります。
たとえば、定期的な医師の診察や運動機能検査、患者との面談などを踏まえ、個々の患者に応じたリハビリプランは目標設定支援という名称で診療報酬が発生しています。
介護保険でのリハビリは、日常生活全般における機能を維持することが目的です。介護認定を受けていることが条件になりますが、リハビリ日数や症状に制限がないため、必要性があれば継続して受けることができます。長期のリハビリは介護保険のほうが向いているといわれる由縁です。
ところが、介護施設などで行われる機能維持・回復のためのリハビリと、医療行為としてのリハビリが、高齢化によって同時に必要になる場面も増えています。
医療と介護の連携は患者・利用者にとっては不可欠ですが、別々の制度のうえに成立している以上、一体改革はなかなかむずかしそうです。
厚生労働省によると、将来、年少人口は減少し、2025年には団塊の世代が75才以上になるそうです。
また認知症を発症した高齢者が増加し、単独世帯や夫婦のみの世帯も増加。老々介護や認知症高齢者が介護する場面も想定されています。
医療と介護によるスムーズで切れ目のないサービスは、患者・利用者にとっては理想ですが、そのための一体改革には問題が少なくありません。
介護施設での医療、病院での介護など、患者・利用者の高齢化にともなって、それぞれニーズが複雑に絡み合っているためです。
患者・利用者としては、2つの保険制度への理解を深め、まずは賢く利用することを考えていくことが必要ではないでしょうか。
医療と介護についてもっと知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
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