デジタル遺品に潜む問題を解説します
投稿日:2017年07月04日 更新日:2022年06月07日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
以前から遺品整理は遺族の悩みの種となっています。遺品は故人の持ち物であるため、持ち主の想いをくみ取りつつ、不要な物は処分していかなければなりません。
しかし処分してしまえば二度と手元に戻ってくることはないため、本当に処分してしまっても良いのかという迷いが出てしまうのです。
しかし最近ではさらなる遺品の問題が遺族を悩ませています。その遺品とはデジタル遺品と呼ばれるものです。
様々なものがデジタルになり生活が便利になっている反面、遺品すらもデジタル化してしまい、取り扱いが非常に難しくなっているのです。
ではデジタル遺品にはどのような問題があるのか、またその問題をどのように解決すれば良いのかを見てみましょう。
遺族が遺品整理を行う場合に問題となることは様々ありますが、最近増えているのはデジタル遺品に関する問題です。
ただデジタル遺品と言っても、どのようなものが含まれるのかを知らないという人も多いでしょう。
まずデジタル遺品とはどのような遺品なのか、そしてデジタル遺品が増えている理由についてみてみます。
デジタル遺品の大きな特徴は実体がないことです。一般的な遺品は家具や家電、衣類や写真、人形などの実体がある物でした。
ところが最近では多くの物がデジタル化されています。写真を撮影するのも以前はフィルムカメラでしたが、現代ではデジタルカメラです。書籍は紙のものから電子書籍に移り変わっています。
このように電子化された状態で残された物をデジタル遺品と呼ぶのです。
デジタル遺品が増えている原因は技術の進歩によって電子化できるようになったことも挙げられますが、最も大きな原因はスマホの普及です。
スマホは非常に便利なもので、それ1台持っていればあらゆる道具の代わりとして使えます。
例えばスマホで写真を撮影できるためデジタルカメラの代わりになったり、スケジュールアプリがあるため紙のスケジュール帳の代わりになったりします。さらにはテレビの代わりや本の代わり、ゲーム機の代わりにもなってしまいます。
つまりスマホ1台あれば何でもできてしまうのです。
日常生活で使用する道具の多くがデジタル化されてスマホに集約されているため、スマホが遺品として残されると、内部のデータがデジタル遺品として残ってしまうということです。
遺品の中でも遺族が困る遺品として写真が挙げられます。写真は多くなると保管に困ります。
しかし写真には故人の想い出が詰まっているため、処分することを躊躇してしまう遺族も多く、結果として取り扱いに困ってしまうのです。
それに対して最近ではスマホで写真を撮影し、スマホの中に全て保存されるので、保管場所に困るということがなくなりました。
こう考えるとデジタル遺品はメリットが多いように感じますが、デジタル遺品にはデメリットも存在しています。
デジタル遺品のデメリットとしてまず挙げられるのは、パスワードによってロックがかけられていることで閲覧できないということです。
スマホにはパスワードによるロックをかけることができます。これによって安全性が増し、安心してスマホを使うことができます。
しかし持ち主が亡くなったとなると誰もパスワードを知らないため、スマホを開くことができなくなり、中に保存されている写真などのデジタル遺品を閲覧できなくなってしまいます。
スマホの普及と共にSNSも広く使われるようになりました。SNSによって誰でも簡単に世界に向けて発言することができるようになりました。
しかしそれゆえに個人でも誹謗中傷を受ける可能性が高まりました。
故人が使っていたSNSのアカウントもデジタル遺品となりますが、これもパスワードがわからなければ公開された状態で放置されます。
もし誹謗中傷を受けている人であれば、成す術なく誹謗中傷を受け続けることになってしまいます。
これを遺族が目にすれば、さらに悲しむことになるでしょう。
貯金は銀行口座にすることが一般的ですが、銀行口座もネットバンクが多くなっています。
ネットバンクはスマホから残高の確認ができたり、振り込みができたりと非常に便利なものですが、やはり扱えるのは登録者本人です。
登録者が亡くなった場合に誰もパスワードを知らなければ、口座に残されているお金を扱うことができなくなってしまいます。
またネットバンクの存在自体を知らず、死後しばらくしてから新たな遺産が見つかってしまうという場合もあります。
遺産は相続しなければならず、取り扱いが難しいものです。そういったものが後から見つかるとなると、さらに厄介なことになってしまうのです。
デジタル遺品には多くの問題が潜んでいます。今後さらにデジタル化が進んでいけば、デジタル遺品の種類も増えていることが考えられます。
ではデジタル遺品の問題を解決する方法として、どのような方法があるのでしょうか。
デジタル遺品における問題の解決方法として、最近注目されている終活が効果的です。
これは、デジタル遺品の問題を未然に防ぐという意味で有効な解決方法です。
終活には様々ありますが、中でもエンディングノートは簡単に始められるうえに、デジタル遺品の問題をうまく解決してくれます。
例えばスマホのパスワードやSNSのパスワード、ネットバンクの暗証番号などをエンディングノートに記しておきます。そしてエンディングノートの保管場所だけを家族に伝えておくのです。
そうすることで万が一亡くなった場合でも、家族がエンディングノートからパスワードを知ることができ、デジタル遺品を取り扱えるようになります。
しかしエンディングノートにパスワードを記す場合、家族以外の人に見られると悪用される危険性があるので、エンディングノートを持ち出すといったことは避けるべきでしょう。
これはデジタル遺品の問題に直面してしまった際の解決方法となります。
デジタル遺品のロックを解除して、中のデータなどを見たい場合には、予想できるパスワードを入力してみましょう。
誕生日や記念日などはよく設定されるパスワードです。また、「1234」「0000」といった単純なパスワードも実は多く使われています。
このような予想できるパスワードを入力すると、ロックを解除することが出来るかもしれません。
ただし、機種によってはパスワードを一定回数間違えるとデータが消えてしまう仕様になっている場合があるので注意が必要です。
パスワードの予想は、故人の日記を確認したり、購入した機種の箱や契約書に記載されている可能性もあります。
遺品整理をする中でそのような物を見つけると良いでしょう。
「自分たちではどうしようもできない…」となった時には、専門の業者に依頼すると良いでしょう。
専門の業者に依頼すれば、高い確率でパスワードの解除を行ってくれます。
ただし、絶対にデジタル遺品のロック解除が出来る訳ではないという点は押さえておきましょう。
それでも、自分たちでやって高い確率で失敗するのであれば、専門の業者に依頼する選択肢を考えてみてください。
近年増えているデジタル遺品に潜む問題についてみていきました。
スマホやパソコンは日常生活で何気なく使っているものなので、デジタル遺品も知らぬ間に増えていっています。
そんなデジタル遺品をしっかりと遺族に残すためにも、終活としてエンディングノートを作成しておくことをおすすめします。
また故人が亡くなり、パスワードがわからないという場合には、予測できる範囲でパスワードを入力してしまうと、デジタル遺品そのものを失ってしまう危険性もあります。
無理に解決しようとするのではなく、一度遺品整理業者に相談をしてみてください。良い解決方法が見つかるのではないでしょうか。
デジタル遺品・遺品整理に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
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