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投稿日:2017年06月09日 更新日:2021年03月30日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産を、相続人が引き継ぐことです。それでは、相続人となるべき人が、相続開始時に既に亡くなっていたり、何らかの事情により、相続する権利を失っていたとしたら、いったい誰がどこまでこの権利を引き継ぐのでしょう?
高齢化社会が進展した現在、これは決して有り得ない話しではありません。
こうした状況下での相続を、代襲相続と呼びますが、これから、その意味と範囲について、具体的に解説します。
相続が発生した場合、財産を引き継ぐことができる者は、民法によって被相続人(亡くなった人)の配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母など)、兄弟姉妹と定められており、これらの人を法定相続人と呼びます。
また、相続する順位も決められており、上位の相続人がいる場合、下位の者は相続人にはなれません。相続人の範囲と順位は、以下の通りです。
相続の順位 | 相続人の範囲 | ポイント |
---|---|---|
常に相続人 | 配偶者 |
|
第1順位 | 子 |
|
第2順位 | 直系尊属(父母等) |
|
第3順位 | 兄弟姉妹 |
|
代襲相続とは、上記相続人となるべき人が、相続開始時に既に亡くなっていたり、相続する権利を失っている場合において、その人の直系卑属(子・孫・曽孫など)や傍系卑属(甥、姪)が、その人の代わりに、その人と同じ順位で、相続人になることをいいます。
また、代襲相続する者を「代襲相続人」、代襲相続される者を「被代襲者」といい、代襲できる者は、被相続人の子、及び、兄弟姉妹です。
子(直系卑属)については、代襲相続するべき孫が、既に死亡している場合などは、曾孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)と、無制限に引き継ぎ、これをそれぞれ再代襲、再々代襲と呼びます。これは、血のつながりのある実子であろうと、血のつながりはないものの、法律上子と認められた、養子であろうと変わりません。
ただし、養子の子が、養子縁組よりも前に生まれていた場合は、養子の子は、養親の遺産を代襲相続できません。養子縁組前に生まれていた子は、養親との間で法定血族関係を生じない為、養親の直系卑属に当たらないとされる為です。
また、正式な婚姻関係のある男女間に生まれた、嫡出子であっても、正式な婚姻関係のない男女間に生まれた、非嫡出子であっても変わりません。
一方、兄弟姉妹の代襲相続は、1代限りしか認められていません。従って、仮に法定相続人である兄弟姉妹も、その子、つまり、被相続人(亡くなった人)にとっての甥や姪も、既に亡くなっていたとしたら、以降の兄弟姉妹の子孫は、相続することができないのです。
配偶者は、常に相続人になります。しかし、配偶者の代襲相続は認められていません。
従って、夫(妻)が既に亡くなっており、夫(妻)の親に相続が発生したとしても、相続権はありません。つまり、本来であれば夫(妻)が相続できた筈の遺産を、相続することはできないことになります。
なお、法定相続人である父母が死亡している場合は、祖父母が相続人となり、祖父母も死亡していれば、さらに曾祖父母が相続人となる、というように、子の場合と同様に、無制限に引き継がれます。
ただし、これを代襲相続とは呼びません。民法上、子がいない場合は、「父母」という表現ではなく、「直系尊属」が次順位の相続人となる、というように規定されている為、代襲相続とは呼ばないのです。
それでは、代襲相続人の具体的な例をみてみましょう。
このケースでは、孫Aだけが代襲相続人となります。仮に孫Aも既に死亡し、さらにその子(曾孫がいた場合は、曾孫が代襲相続人となります。
このケースでは、代襲相続人は存在しません。
このケースでは、甥のみが1代限りで代襲相続人になります。
次に、代襲相続人の、相続割合についてみてみましょう。繰り返しになりますが、代襲相続とは、本来の相続人の代わりに、その人と同じ順位で、相続人になることですから、相続割合についても、本来の相続人の法定相続分と等しくなります。
なお、法定相続分とは、民法で定められた相続分のことです。相続財産をどのように分割するかは、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)がまとまれば、自由に決めることができますが、法定相続分は、その際の目安になるものです。
話し合いがまとまらず、遺言書も無い場合、最後はこの法定相続分を基準に相続することになり、その割合は以下の通りです。
法定相続人・代襲相続人 | 相続分 | 配偶者がいない場合 |
---|---|---|
配偶者のみ | 配偶者が全部 | - |
配偶者と子(孫等) | 配偶者1/2、子(孫等)1/2(注) | 子(孫等)が全部 |
配偶者と直系尊属(父母等) | 配偶者2/3、直系尊属1/3(注) | 直系尊属が全部 |
配偶者と兄弟姉妹(甥・姪) | 配偶者3/4、兄弟姉妹(甥・姪)1/4(注) | 兄弟姉妹(甥・姪)が全部 |
(注)子(孫等)、直系尊属、兄弟姉妹(甥・姪)がそれぞれ複数の時は、それぞれで均等に分割します。
代襲相続の割合についても、「法定相続人と代襲相続の範囲・・・誰が相続するか」で解説した通り、養子、非嫡出子であろうと、実子、嫡出子と全く同様に扱われます。
なお、代襲相続人である孫が、被相続人(亡くなった人)の養子にもなっている場合は、代襲相続人としての相続分と、養子としての相続分の両方を得ることになり、これを二重身分といいます。
被相続人(亡くなった人)と父母を同じくする兄弟姉妹を、全血兄弟姉妹といい、父母のどちらか一方を同じくする兄弟姉妹を、半血兄弟姉妹といいます。
半血兄弟姉妹も、全血兄弟姉妹と同様に第3順位の相続人となりますが、半血兄弟姉妹の相続分は、全血兄弟姉妹の1/2となり、当然、代襲相続でもこれを引き継ぎます。
代襲相続の割合を、具体的な例でみてみましょう。
長男Aの代襲相続人、長女、次男で各1/6(合計1/2)を相続し、さらに長男Aの代襲相続人2名で各1/12(本来、長男Aの相続分1/6)を代襲相続します。
弟の代襲相続人2名で各1/8(本来、弟の相続分1/4)を代襲相続します。
このケースでは、孫Aと孫Bで長男Aの相続分1/8を2等分して代襲相続。
さらに孫Bは被相続人の普通養子にもなっている為、さらに1/8を法定相続。長女と次男は各1/8を法定相続。
半血兄弟Aの代襲相続人は、全血兄弟Bの半分を代襲相続。
民法では、相続人となる筈であった者でも、相続人に一定の重大な事情がある時は、相続権が無くなってしまう場合があります。
この一定の重大な事情の内容によっては、法定相続人の子であっても、同様に代襲相続人になれない場合があります。
次に、この、本来の相続人が相続権をそう失していた場合で、その子が代襲相続人になれるケース、なれないケースについてみてみます。
民法では、推定相続人(相続が開始した場合に相続人になるべき者)に以下の行為があったと認められる場合は、その制裁として、法律上、相続権を当然にそう失すると定めています。
相続欠格とは、推定相続人(相続が開始した場合に相続人になるべき者)が、故意に被相続人(亡くなった人)、または、他の先順位や同順位の相続人を、殺害したり、殺害しようとしたり、詐欺や脅迫によって遺言を書かせた場合などで、民法上、相続権を失うことです。
この場合は、被相続人の申し立ての有無に関わらず、家庭裁判所の指示によって、相続権をそう失します。
推定相続人が、被相続人を虐待したり、重大な侮辱を加えたり、著しい非行があった場合に、被相続人が家庭裁判所に申し立てることによって、その相続権をそう失させることです。
なお、被相続人は、推定相続人の廃除の取り消しを、いつでも家庭裁判所に請求することができます。
また、被相続人が、遺言によって推定相続人を廃除する意思を表示した時は、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。この場合、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生じます。
この、欠格、または、廃除が家庭裁判所に認められると、推定相続人自身の相続権はそう失しますが、その原因は、あくまで推定相続人固有のものですので、その子までは制裁措置が及びません。
従って、もしこの状況で相続が開始されると、推定相続人の生死に関わりなく、その子が代襲相続することになります。ここが、推定相続人が亡くなっていることにより発生する、通常の代襲相続との相違点です。
次に、本来の相続人が相続権をそう失していると、その子も代襲相続できないケースをみてみます。「相続放棄」がこれに当たります。相続放棄とは、プラスの財産も、マイナスの財産も、一切引き継がない方法です。
相続放棄をする場合は、相続の開始を知った日から、3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、相続開始前に、相続放棄することはできません。
尚、相続放棄を行った者は、民法上、その相続に関して、最初から相続人でなかったものとみなされます。最初から相続人でなかったもの、つまり、そもそも相続そのものがなかったと同じことになる訳ですから、当然、代襲相続も発生し得ないことになります。
以下に、一般的な代襲相続と相続欠格・相続廃除・相続放棄の場合の代襲相続の具体な例についてみてみましょう。
[caption id="attachment_9966" align="aligncenter" width="916"] クリックして拡大[/caption]代襲相続の制度によって、たとえ本来の相続人が亡くなっていても、先祖が築き上げた財産は、さらに次の世代へと受け継がれてゆきます。しかし、先祖から続く長い家系の歴史の中で受け継がれてきたこの財産は、単に相続人のものなのでしょうか? 民法という法律の上では、確かにその通りです。
一方で、相続とは、祖先から脈々と続く思いの継承でもあります。そういう意味においては、相続財産は、単に引き継いだ人のものというよりも、祖先からの預かりものであるともいえ、相続人とは、「次の世代にきちん届ける役割を有する人」、とも考えられるのではないでしょうか?
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