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投稿日:2017年05月06日 更新日:2021年03月30日

後見人とは?相続はどうなるの?

執筆者のゆーすけ

ゆーすけ |片付け部編集長

片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。

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人は人生の終盤に誰かのお世話にならざるを得ない状況があります。「後見人」と言われる人もその中の一人です。

後見人の仕事内容は大きく二つに分けて説明されます。それはご本人の財産を適正に管理するという「財産管理」と、ご本人の生活、治療、療養、介護等の法律行為を代理する「身上監護」です。 このように誰かのお世話にならざるを負えない状況とは、一体どんなものでしょうか。

人類は不老不死の夢を追いかけ、医学の力で着実に平均寿命を延ばしてきました。日本では男女とも80歳を超える時代です(厚労省H28年7月27日発表)。

しかし一方で「健康寿命」は男性が71歳、女性が76歳という調査結果があります(平成26年版厚生労働白書)。

健康寿命とは、健康に一人で日常生活を送れる期間のことです。この平均寿命と健康寿命の数字から大雑把にイメージできることは、人生の終わりの約10年間、人は必ず誰かのお世話になるということなんです。健康寿命以降は、何らかの形で人の力に頼りながら日常生活を過ごさざるを得ないのです。

ここではお世話になる人の一人である「後見人」に光を当ててみたいと思います。

「後見人」という言葉自体が仰々しい上、相続の問題が発生した時にどのように関わるのかという心配もあるでしょう。成年後見制度の理解を深め、後見人について正しい知識を身に付けることで、その辺りの疑問を解明していきましょう。

目次

成年後見制度とは何か

相続の成年後見制度

未成年後見制度

成年後見制度を理解する前提として、次のようなケースを先ず考えてみるとよいでしょう。

未成年の子どもの両親が交通事故で他界してしまったというような場合です。

このような場合に備えて、裁判所はこの未成年の子どものために後見人を選任します(民法第838条①)。親の財産をいきなり任せられても、子どもも困ってしまいます。

また世の中の複雑な取引関係に正しい判断で臨むことはまだ難しいだろうと、誰しもが考えるからです。世の中にはいろんな人がいますから、騙されることのないようにという善意の法的仕組みです。

このこと自体に異論をはさむ余地はないでしょう。これが未成年後見制度と言われるものなのです。この後見制度を念頭において、次に成年後見制度をみていきましょう。

成年後見制度

成年後見制度も未成年後見制度と同じ後見制度です。

基本は同じです。違うのは、未成年か成年かという点です。

成年後見制度は「成年」というのですから、年齢的には「大人(20歳以上)」の話です。大人でありながら、親の財産を任せられて困るケースや取引関係に正しい判断で臨むことが難しいケースがあれば、善意の仕組みとして「後見人」を選任し、騙されることがないように手助けをしようという制度なのです。

このように比較して考えてみると、成年後見制度について、イメージしやすくなったのではないでしょうか。

どんな人が成年後見制度を必要とし、実際に利用しているのか?

後見人を相続で必要としている人

後見制度を必要としている人

さて、後見制度を必要とする成年とはどんな人なのでしょうか。

それは認知症の方、知的障がいのある方や精神障がいのある方です。このような方に対しては程度の差はあれ、やはり未成年の子どもと同じように配慮をする必要がありそうです。

実際に認知症や知的障害のあるご本人が状況を理解して後見人制度の利用を申し立てることもできます。

しかし、多くは周囲の方(本人、配偶者、4親等内の親族)がご本人のために申し立てることが多いです。このような申し立てをする身内の方が全くおられない場合は、市区町村長による申し立ても可能です。

後見制度を実際に利用している人の年齢構成

後見人制度の利用を申し立てるご本人の男女別割合は、男性が約4割・女性が約6割です。

これは女性の方が長生きをしやすい傾向があるからでしょう。それを明らかにしているのが、男女別の年齢構成です。次にそれをみてみましょう。

男性は、80歳以上が約35%、70歳代が約24%です。それに対して女性は80歳以上が全体の約64%、70歳代が約18%という結果になっています。

更に65歳以上の比率は、男性が約70%なのに対して女性が約87%もありますから、女性の長寿傾向がはっきりと数字に表れています。

[caption id="attachment_4376" align="aligncenter" width="1042"]成年後見制度利用本人(男)年齢別割合 クリックして拡大[/caption] [caption id="attachment_4377" align="aligncenter" width="1050"]成年後見制度利用本人(女)年齢別割合 クリックして拡大[/caption]

参考・参照サイト:「成年後見関係事件の概況」平成28年1月~12月

成年後見制度申し立ての動機

成年後見制度を利用しようと思った動機を調べてみましょう。

全体の42%と圧倒的に多いのが「預貯金等の管理・解約」です。

銀行に行ってATMから現金を引き出そうとしたら暗証番号を忘れていたり、窓口で戸惑ったりする様子から、銀行が後見人を選任してもらうように促したのかもしれません。

こういうことは実はよくあることで、日中に銀行に行くと目にする光景だったりします。

次に多いのが「身上監護」となります。

これは、親族が離れて住んでいたり、身寄りがなかったりする方のケースになります。このような場合は、ご本人に代わって手続や契約をする後見人が必要なのです。

多い動機の5番目に「相続手続き」が出てきます。遺産分割協議を行う時や相続放棄等の意思表示を求められて、急遽後見の申し立てをするというのも、よくある話です。

このようにみてくると、後見制度を利用しようと思った動機は、どれも必要性に迫られたケースが非常に多いということが分かります。

ある意味、必要に迫られてやむなく利用しているという実態が浮かび上がってきます。

[caption id="attachment_4378" align="aligncenter" width="958"]後見開始申し立ての主な動機 クリックして拡大[/caption]

参考・参照サイト:「成年後見関係事件の概況」平成28年1月~12月

誰が成年後見制度の申立人となることが多いのか

成年後見制度の申し立てをしようとする動機は、必要性に迫られたケースへの対応でした。

そこから自然に導かれる申立人はご本人の「子」です。

親の預貯金を引き出したいとか、親に代わって諸々の契約をしたいという状況は想像に難くないはずです。

離れて暮らす親を、自分に代わって支援して欲しいという状況もあり得るでしょう。実際のところ、後見開始の申し立てをするのは、圧倒的に「子」が多いのです。

それに対して

「市区町村長」による申立てが多い

というのは、意外に思われる方もいるでしょう。

しかし、身寄りのない独居老人が増えている傾向を考えれば、これも時代をはっきりと表す数字といえるでしょう。ではどんなケースが市区町村長による申立てとなるのか、事例をご紹介しましょう。

[caption id="attachment_4379" align="aligncenter" width="1072"]世帯構成の変化(2014年と2009年比較) クリックして拡大[/caption] [caption id="attachment_4380" align="aligncenter" width="935"]申立人と本人との関係 クリックして拡大[/caption]

参考・参照サイト:
【1枚目】厚生労働省「2014年世帯動態調査」国立社会保障・人口問題研究所
【2枚目】「成年後見関係事件の概況」平成28年1月~12月

市区町村長の申し立て事例

ご本人は80歳の認知症男性です。51歳になる息子さんがおり、別居をしています。

息子さんはご本人の年金を搾取し、身体的な虐待を行っている上に、ご本人所有の土地家屋の権利書と実印を勝手に持ち出しました。

このような状況でご本人が突然脳こうそくで入院されたため、ご本人を保護するために行政は、後見開始の申し立てと保全処分の申し立てを併せて行いました。

保全処分の申し立てをした結果、後見人候補の専門職が財産管理人に選ばれました(成年後見制度市町村長申立てマニュアル2013HP版)。

成年後見制度を利用したらどんな利点があるのか?

相続で後見人を利用するメリットに悩む女性

よく耳にするニュースとして、高齢者をターゲットにした詐欺があります。

悪徳セールスマンが高齢者を騙し、悪徳セールスマンを良い人だと勘違いさせて、法外な支払い契約を結ばせたり、高額かつ不必要なものを複数購入させたりということが社会問題となっています。

このようなケースで、周囲の方が親切にいくら頑張っても限界があります。

ご本人がちゃんと理解して押印しているんだと言って契約書を出されてしまうと、その契約を取り消してお金を返してもらうのは容易ではありません。お金を返してもらうために、時間も費用も費やさなければならないのです。

しかしこの高齢者の方が認知症であり後見人が選任されていたならば、後見人は取消権を使って契約を取り消すことができます。

このような言葉巧みに言い寄って来る悪徳営業マンに高額な契約をさせられたケースだけでなく、各種手続きにおいても、後見人はご本人に代わってご本人の利益になるような判断を適切にしてくれます。

更にはご本人の財産も管理していますから、ご本人がお金を浪費するという事態も避けることができるのです。

どんな人が成年後見人になれるのか

成年後見人には次の欠格事由に当てはまらなければ、誰でもなることはできます。

  1. 未成年者
  2. 成年後見人等を解任された人
  3. 破産者で復権していない人
  4. 本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者または親子
  5. 行方不明である人

以前は親族が多かったのですが、現在は弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門職が後見人になるケースが増えています。

親族によるご本人の財産の使い込みなどが問題となり、社会の風潮は徐々に専門職が後見人になる比重を高めたのです(だからと言って専門職による不正がゼロと言う訳ではありません)。

弁護士や司法書士は法律問題に詳しく、何かトラブルがあっても法的な解決能力が高いだろうという考えが働いているのでしょう。

社会福祉士が多いのは、福祉の専門家という期待値の表れです。

[caption id="attachment_4381" align="aligncenter" width="1202"]成年後見人等と本人の関係 クリックして拡大[/caption]

参考・参照サイト:「成年後見関係事件の概況」平成28年1月~12月

成年後見人の報酬

民法第862条は「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。」と定めています。

親族の方が後見人の場合には、世話をするのは当たり前だと考えて無報酬のケースもありますが、親族への一ヶ月あたりの平均報酬額は2万5千円となっています。

一方、専門職の一ヶ月あたりの平均報酬額は3万円という調査結果です。

仕事としている専門職の報酬がやや高くなる傾向が分かります。

このように後見人には報酬が発生しますが、最終的にその額を決めるのは裁判所であり、ご本人の資力を判断して報酬を決めることになります。

ご本人の金融資産と報酬の関係をみてみると、金融資産の多さに比例して報酬が高くなっていることが明白です(「成年後見の実務的・理論的体系化に関する研究平成23~24年度総合研究報告書」)。

[caption id="attachment_4382" align="aligncenter" width="752"]業態別一カ月あたりの後見人への平均報酬額(円) クリックして拡大[/caption] [caption id="attachment_4383" align="aligncenter" width="876"]業態別一カ月あたりの後見人への平均報酬額(円) クリックして拡大[/caption]

成年後見制度はどのくらい利用されているのか

最高裁判所の調査(「成年後見関係事件の概況-平成28年1月~12月」)によると、成年後制度は平成23年から平成28年まで、毎年約1万件ずつ利用者が増えていることが明らかになっています。

加えて平成24年に462万人いた認知症の人が平成37年には675万人~730万人にも増えると予測されています(「成年後見制度の現状」内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局平成28年9月23日)。

このペースで認知症の方が増えるならば、今後益々後見制度の利用者は増えていくことが必然の状況だと言えます。

[caption id="attachment_4384" align="aligncenter" width="1238"]成年後見制度の利用者数の推移(平成23年~平成28年) クリックして拡大[/caption]

参考・参照サイト:「成年後見関係事件の概況」平成28年1月~12月

成年後見人は具体的に何をしてくれるのか

相続の後見人の男性 後見人の仕事内容は大きく二つに分けて説明されます。それはご本人の財産を適正に管理するという「財産管理」と、ご本人の生活、治療、療養、介護等の法律行為を代理する「身上監護」です。

成年後見人が行う財産管理とは

後見人の使命は本人の財産を無駄に減らさないということにあります。とはいっても、なかなか具体的にイメージするのは難しいと思われますので、参考となりそうな例をご紹介しましょう。

  1. 借金を返済してもらうこと
  2. 借金をしたり連帯保証人になったりすること
  3. 自宅を売却すること
  4. 誰かと裁判で争うこと
  5. 自分の財産を誰かに贈与する契約や和解の契約をすること
  6. 相続の承認や放棄、遺産分割協議書に調印すること
  7. 贈与・遺贈の申込みの承諾や放棄をすること
  8. 自宅の新築や大規模なリフォームをすること
  9. 5年間アパートを借りる契約をすること

これらに限定されるわけでは決してありませんが、このような行為が財産管理のイメージとなります。

但し後見人は、上記の事柄を無条件に全てできる訳ではありません。裁判所の許可を得なければできないこともあります。

例えば1の借金を返済してもらうことも、裁判所の許可が必要なのです。

今すぐ借金を返してもらうとなると、本来の期限までもらえるはずだった利息がもらえなくなるというのがその理由です。

それでは、どこかにご本人の財産を寄付するということは、可能なのでしょうか。

その答えは簡単ですね。非常に難しいということになります。借金を返済してもらうことさえ、容易ではないのですから、ましてや寄付となると、ご本人の財産を単純に減らすだけですから、不可能に近い話です。

特別な事情があり、本人も従前継続的に自ら進んで寄付していたというような事情がある場合には、裁判所と相談して判断することになりますが、それでも認めてもらうことはなかなか難しいでしょう。

自宅の売却による生活資金の確保

後見人はご本人の生活資金や施設入居費用を用意するために、ご本人の自宅を処分することができます。

ただし、これには裁判所の許可が前提となりますし、帰る場所が無くなるということは、ご本人が不安を感じる要因にもなるでしょう。

リバースモゲージによる生活資金の確保

裁判所の許可を得なくとも、後見人が正当な行為として問題なくご本人のために生活資金や施設入居費用を用意する方法が最近話題となっています。

それがリバースモゲージという方法です。従来のリバースモゲージは自宅を処分する仕組みでした。

一方で、賃料返済型リバースモゲージと言われるものは、ご本人の自宅を処分せずに、現金化することができる仕組みです。

この仕組みでは、ご本人の自宅(戸建て)を一般社団法人移住・住みかえ支援機構が一括借り上げをし、家賃保証をするのです。

そして、この家賃収入を返済原資として金融機関から融資を受けます。このようにリバースモゲージは自宅の処分には該当しないので、裁判所の許可は当然不要です。

成年後見人はこの仕組みを使ってご本人の自宅を現金化することができ、将来的に相続財産として残すこともできます。

更には家賃相場で自宅を評価してもらえるので、自宅を売却するよりも高い評価となるケースもあります。

このような情報を収集し、ご本人の生活資金や施設入居費用を工面することも、後見人の財産管理の仕事と言えるでしょう。

成年後見人が行う身上監護とは

相続の後見人が行うこと

成年後見人はご本人に代わって、生活上必要な契約・手続きを行い、施設入退所や病院の手続を行います。

自ら適切な判断で契約ができないご本人に代わって、成年後見人が契約を行うのです。

成年後見人が注意すべき行為:手術の同意書へのサイン

成年後見人でよく問題になるのが、手術の同意書のサインです。

成年後見人には身上監護を誠実に行わなければならない義務があります。しかし、手術の同意は法律行為ではないので、成年後見人は同意を行うことはできないのです。

ですから後見人は同意書にサインしません。遠い縁者の方に手術の同意をお願いすることがあるのは、こういった事情のためです。

成年後見人が注意すべき行為:金銭の贈与

ご本人がお世話になっている後見人に自分の金銭を贈与したいという状況も考えられます。

ごく自然な人間の感情からそのようなことはあり得ます。

しかし、このような行為は利益相反行為として禁じられており、特別代理人を選任しなければいけないことになっています(民法第860条、第826条)。

これはどういうことかというと、ご本人の財産が減り、その分後見人の財産が増えるという行為は、勝手にやってはいけないということです。

裁判所を関与させて、特別代理人が公平な観点からその行為をするならば問題はないということになります。

ですが、ここでご紹介したようなケースではまず認めてもらえることはないかと思われます。なぜなら後見人は報酬をもらう訳ですから、それ以上にご本人の財産を減らす必要性を裁判所は感じないからです。

成年後見人の種類:法定後見人と任意後見人

相続の後見人の種類

これまで記載してきた成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度から構成されています。

この2つの違いは判断能力がいつ衰えたかの違いになります。

具体的には、法定後見は判断能力が衰えた後でないと利用できません。一方で、任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できます。

任意後見人と法定後見人の違い

法定後見人はご本人を包括的に代理します。

しかし任意後見人は、あらかじめ契約で定めた内容だけに制限されます。従って契約書を作成する際には、必要な内容を漏らさずに記載することが肝心です。

更に、任意後見人には取消権がありません。

ご本人が悪意の営業マンと交わした契約を取り消すことが出来ないのです。法定後見に比べて、被害に遭わないように元気なうちから見守り契約や財産管理委任契約で予防できることは任意後見のメリットなのですが、被害にあった後の対応は法定後見の方にメリットがあると言えるでしょう。

法定後見人とは

相続の後見人

ご本人や配偶者の方、4親等内の親族の方が後見人の選任を申し立てることができるということは、既にお伝えしました。

申し立ては、家庭裁判所に対して行います。後見人となる候補者がいればその方を候補者として申し立てることもできます。

基本的に後見人は裁判所の判断で選任されますから、必ずしも候補者が後見人となる保証はありません。

このように、裁判所が選任した後見人のことを「法定後見人」と言います。

法定後見の申し立てをするタイミング

法定後見制度を利用しようとする場合、どのタイミングで申し立てをすればよいのでしょうか。

心配だから早くから準備をしておこうと思う方もいらっしゃると思います。

ここで注意しなければならいのは法定後見制度は事前に申し立てをすることはできないのです。

あくまで事後の申し立てとなります。「事前」・「事後」という言葉は大人として適切な判断能力に問題が生じる前と後ということです。

認知症を例とすれば、医師から認知症と認定される前と後ということです。

ですから、認知症だと医師から認定されたら初めて、法定後見開始の申し立てをすることができるということになります。

知的障がいのある方や精神障がいのある方は、既に適切な判断能力を欠く状態にあると言えますので、いつでも法定後見開始の申し立てをすることができます。

法定後見人の3つの種類:「後見」・「保佐」・「補助」

相続の後見人の種類について説明する人

法定後見人には3つの種類があります。支援が必要なご本人の状況で、後見内容を分けているということです。

後見人にすっかり任せておかないと心配だという場合が「後見」です。

それに対して、後見人が少しだけ関与すればいいねという場合が「補助」となります。

後見と補助の中間が「保佐」となります。

それでは「後見」・「保佐」・「補助」を詳しくみていきましょう。

法定後見人の種類「後見」

認知症の方、知的障がいや精神障がいのある方で、判断能力が欠けているのが通常の状態となっている場合の保護・支援制度が「後見」です。

後見人がご本人を代理したり、ご本人の法律行為を取り消したりすることができます。

しかし後見人は何でも取り消しをすることができるとすると、ご本人の自己決定を全面的に否定してしまいますので、「日常生活に関する行為(食料品や衣料品等の購入)」については、取り消しの対象から外されています。

法定後見人の種類「保佐」

認知症の方、知的障がいや精神障がいのある方で、判断能力が著しく不十分な方を保護・支援する制度が「保佐」です。

法律で定められた一定の行為(民法第13条)について、保佐人の同意を得ることが必要です。保佐人の同意を得ないでしたご本人の行為は、ご本人または保佐人が取り消しできます。

「日常生活に関する行為(食料品や衣料品等の購入)」が取り消しの対象から外されているのは、「後見」と同じです。

法定後見人の種類「補助」

認知症の方、知的障がいや精神障がいのある方で、その障がいが軽度であり、判断能力が不十分な方を保護・支援する制度が「補助」です。

特定の法律行為について、補助人に同意権・取消権や代理権を与えることができます。「日常生活に関する行為(食料品や衣料品等の購入)」については、同意見や取り消しの対象から外されているのは、「後見」と同じです。

この「補助」については、非常にイメージが持ちにくいと思われますから、次のような事例をご紹介しておきましょう。

法定後見人の「補助」の申し立て事例

訪問販売員から高額の呉服を何枚も購入してしまう親に困った長男が、補助開始の審判の申立てと親が10万円以上の商品を購入することについての同意権付与審判の申立てをしました。

審理の結果、親について補助開始となり、長男が後見人(補助人)となって同意権も与えられました。

今後は親が長男に断りなく10万円以上の商品を購入した場合、長男はその契約を取り消すことができるようになりました(法務省HP「成年後見制度~成年後見登記制度~」)。

法定後見開始の申し立て

相続の後見人開始の申し立て

手続的なことをまとめておきましたので、参考としてください。

法定後見の申立てが出来る人

本人、配偶者、4親等内の親族(ご本人の子、孫、ひ孫、ひ孫の子、親、祖父母、曾祖父母、曾祖父母の父母、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親、配偶者の祖父母、配偶者の曾祖父母、配偶者の子、配偶者の孫、配偶者のひ孫、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の甥姪、配偶者のおじ、おば)が申し立てをします。

なお、孤立無縁の方の場合は市区町村長が申し立てを行うことができます。

法定後見の申立てに必要な書類

書類の種類が多く、作成にも時間がかかるものがありますので、事前準備をしっかりする必要があります。

  1. 申立書
  2. 申立て事情説明書
  3. 親族関係図
  4. 財産目録と資料
  5. 収支状況報告書と資料
  6. 後見人等候補者事情説明書
  7. 親族の同意書
  8. 本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書
  9. 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票
  10. 診断書

法定後見の申立て費用

以下に列挙しているものは、法定費用と言われるものです。弁護士や司法書士に申し立てを依頼する場合には別途、報酬 を支払う必要があります。

1.申立て手数料 開始(成年後見・保佐・補助)事件:800円
開始(保佐・補助)事件+代理権付与:1,600円
開始(保佐・補助)事件+代理権付与+同意権付与:2,400円
2.登記手数料 2,600円
3.郵便切手 (東京家庭裁判所立川支部の例) 後見の場合:3,200円
保佐・補助の場合:4,100円
4.鑑定費用 10万円(診断書とは別に、稀に鑑定を受けなければならない場合があります)

法定後見の申立人等の面接

申立書類の審査の後、申立人や本人、後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれて調査官に事情や意見を聞かれたりします。

法定後見人の審判

後見人候補者が後見人に選任されることが多いですが、そうでないケースが少しずつ増えてきています。

ご本人や申立人と候補者の関係というよりも、事情に応じた専門性を持ち合わせているかどうかで、後見人を選任する傾向が高まっているようです。

審判書を受け取ってから審判の不服を申し立てることができますが、不服を申し立てなければ、審判書を受け取ってから2週間後に審判の内容が確定し、後見人である旨が登記されます。

任意後見人とは

相続の後見人

任意後見人というのは、ご本人と「契約」を交わすことで後見人となることを裁判所に認めてもらう人のことです。

事前に信頼できる人を見つけ、「あなたに私の後見人になってもらいたいから契約をしましょう」という場合です。裁判所が後見人となる人を選ぶ法定後見人とはそこが違います。

任意後見契約は、ご本人といつ交わすのか

後見開始の申し立ては、事前にすることはできないということは既にお伝えしましたが、逆に任意後見契約自体は事前にしかできません。

事前とは、大人としての適切な判断能力に問題が生じる前ということです。

認知症を例とすれば、医師から認知症と認定される前でなければなりません。

大人として適切な判断の元に任意後見契約を交わしたのだということを証明するために、公証役場に出向いて契約書を公正証書にする必要があります。

どこまでの業務を任せるのかはご本人の自由ですから、任せる内容を契約書の内容に盛り込むことになります。

任意後見人はいつ就任するのか

ご本人が大人として適切な判断をすることができるときに任意後見契約をしていても、その時点ではまだ後見人となることはありません。

ご本人が認知症等になり大人としての適切な判断をすることが出来なくなったら、医師の診断書を添えて裁判所に後見開始の申し立てをする必要があります。

このタイミングが実はなかなか難しいところではあります。そして裁判所から任意後見人監督人が選任されて、ようやく任意後見人と認められ、正式に後見人となることができるのです。

任意後見契約とセットになることが多い契約

任意後見契約は元気なうちに契約をしておくものですが、大人としての適切な判断が出来なくなったら直ぐに裁判所に申し立てる必要があります。

そこにタイムラグが生じると、ご本人にとっては不利益が生じる可能性が高まります。

そのために見守り契約・財産管理委任契約を交わしておくのです。

また、任意後見契約では死後の財産処分の権限まではカバーできないので、通常は死後事務委任契約を交わしておきます。

このように、見守り契約・財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約はセットとされることが多いのです。それぞれについてもう少し詳しくみていきましょう。

見守り契約・財産管理委任契約

任意後見人となる前の、ご本人が元気な状態を「見守る」契約をしておきます。

その見守り契約に従って、任意後見人の候補者はいざという時に裁判所に直ぐに後見開始の申し立てができるよう、注意しておくのです。

この時に財産の管理を任せる財産管理委任契約を結んでおくこともあります。ご本人が元気なうちから既にご本人の財産管理を行っていれば、後見開始の申立てから任意後見人になるまでの間も特に不都合は生じないのです。

死後事務委任契約

ご本人が亡くなった後に、葬儀や埋葬等についてのご本人の希望を叶えるべく、契約を交わしておくのです。

法定後見人には死後事務を行う権限が認められていますが、任意後見人には認められていないので、ご本人に強い希望がある場合は死後事務委任契約を交わしておくことが一般的です。

任意後見任の申し立てに必要な書類

後見開始の申し立てに必要な書類などは法定後見人と同じになります。

  1. 申立書
  2. 申立て事情説明書
  3. 親族関係図
  4. 財産目録と資料
  5. 収支状況報告書と資料
  6. 後見人等候補者事情説明書
  7. 親族の同意書
  8. 本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書
  9. 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票
  10. 診断書

任意後見契約書の作成

  1. 本人と受任者の各印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)、実印、住民票
  2. 本人の戸籍謄本

任意後見の費用

  1. 公正証書作成費用:11,000円
  2. 登記嘱託手数料:1,400円
  3. 登記するための印紙代:4,000円
  4. 正本・謄本の作成手数料(1枚につき250円)

後見人制度でよくある疑問:後見人と相続問題についてが選任されていても相続人になることができるのか

相続をした人

高齢の兄弟姉妹で相続の問題が発生したら、後見人のいるご本人は不利になるのでしょうか。

このようなご心配をされる方は少なくはありません。どうしても後見人がいないと何もできないという印象があるため、相続の際には不利に扱われるのではないかという危惧があると思われます。

しかしそのご心配は全く無用です。後見人はしっかりとご本人の相続分を主張します。逆に、しっかりと相続分を主張することが問題となるケースもあるくらいです。

後見人と他の相続人がもめるケース

主たる相続財産が不動産のようなケースでは通常、遺産分割協議を行い、相続人の代表者が不動産を取得し、他の相続人は相続分を無しとするようなことが多く見受けられます。

これは本家を維持していくために、昔からよく行われていることです。

先祖代々の土地と家を守るための一つの知恵でもあったりするわけです。ところがこのようなケースにおいて、後見人は法定相続分を主張します。

相続分ゼロという結論には真向反対します。後見人の主張の後ろには裁判所がいるのです。

後見人は、裁判所の考えを意識しながら、あくまで後見人として後見人の仕事に徹します。

後見人のする仕事で財産管理というのがありました。財産管理は「無駄に後見人の財産を減らさない」ことが鉄則です。

相続における協議に参加することは、まさに財産管理なのです。だから法定相続分を下回る遺産分割協議に同意すると、裁判所から故意に(わざと)ご本人の財産を減らしたと判断されてしまう恐れがあります。

もらえる利益を放棄したという判断です。このようなケースでは様々な要素も加味され、結論として遺留分相当の相続で落ち着くこともあります。

しかし、絶対的な方針ではありません。後見人がいなければもめることがなかった相続かもしれませんが、後見人がいることでもめてしまうこともあります。

ご本人を抜きにした遺産分割協議がなされたケース

例えば認知症のご本人を除いた他の相続人が集まって、遺産分割協議を行った場合、この遺産分割協議は無効です。

遺産分割協議に参加していないのに、他の相続人等がご本人の署名押印を勝手にするという行為は、犯罪になってしまいます。

遺産分割協議が必要な場合には、ご本人の代わりに、後見人がその協議に参加しなければなりません。

遺言書があり他の相続人が遺産を相続するケース

遺言書の内容について後見人は、ご本人の遺留分が侵害されていないかを見極めることが必要になります。

ご本人が適切な判断能力を持っていたならば、遺言書の内容に納得していたかもしれない事情があっても、後見人としてはその職務上、遺留分を確保する必要があります。

もしも後見人が遺留分を主張せずに、遺言の内容をそのまま受け入れたなら、後見人に課せられた善管注意義務違反の責めを負うことになります。

後見人が相続放棄を選択するケース

先ほど後見人はしっかりと相続分を主張すると言いました。

ここでは真逆のことをお伝えしなければいけません。後見人は相続を放棄することがあります。

これはどういうことでしょうか。後見人は後見人としての仕事をしなければなりません。

相続を放棄しなければならないのも、それが仕事だからです。つまりご本人の財産を減らさないように、相続を放棄するのです。言い換えると、相続財産がマイナスのときに、放棄するのです。

相続財産として、自宅不動産や多少の貯蓄があったとしても、借金がそれを上回るようなケースにおいては、後見人は相続を放棄することになります。

その借金が親族からのものであり、返さなければ親族間でトラブルになるというケースであっても、後見人は情に流される訳にはいかないのです。

後見人は後見人としての職責を果たさなければなりません。このように後見人はご本人の利益になるようであれば、迷うことなく相続を放棄する判断を下します。

後見人制度でよくある疑問:後見人が選任されている場合、亡くなったらその財産はどうなるのか

株式相続の注意点

ご本人が亡くなったら、後見人が管理していた財産はどうなるのでしょうか。

無事に相続されるのでしょうか。これは後見人制度の利用を考えている人にとっては、非常に関心があり、なおかつ心配になるところではないでしょうか。

そもそも後見人はご本人の代理や同意をする存在です。したがって、ご本人が亡くなられてしまうと代理をする必要もなければ同意をすることもできません。

つまりはお役御免となるのです。但し裁判所の監督の元で、次のような行為を行うことがあります。

後見人が葬儀・埋葬を行う

相続人の方がおられるような場合は、基本的に相続人の方が主宰者となって行うため、費用についても主宰者が負担するのが通常です。

しかしご本人が孤立無縁の方のような場合、法定後見人は死後の事務管理として残った財産を使って葬儀・埋葬を行います。

任意後見人の場合は死後事務委任契約に基づいて行います。

後見人が相続財産の引き渡しをする

相続人の方がおられる場合は、清算後の財産を相続人に全て引き継ぎます。

この場合に相続人の方が複数おられる場合は全員の協議で代表者を定めてもらい、代表者に引き継ぐことになります。これは後々のトラブル防止のためです。

所在不明の相続人しかいない場合は、不在者財産管理人の選任を申し立て、不在者財産管理人に財産を引き継ぎます。

相続人がおられない場合は、裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て、相続財産管理人に財産を引き継ぎます。

成年後見制度の問題点

ご本人のために身上監護と財産管理を行う後見人制度ですが、時としてご本人にとって問題となることもあります。

ご本人の地位の喪失

ご本人に後見人がつくと、ご本人が今まで有していた地位や資格を失うことがあります。医師や税理士などの資格や会社役員、公務員という地位を失うことになります。

後見人の変更はできない

後見開始の申し立ての際の後見人候補者ではない人が後見人になったことを不服として、申し立て自体を取り下げることはできません。

あくまでもご本人を後見人という制度で守ることが優先されるからです。また、後見人を変えて欲しいという要求も受け入れてもらえません。

しかし、後見人が不正なことをしたような場合には、裁判所は後見人解任の審判をすることはあります。

本人の意思の尊重

民法第858条は次のように定めています。

「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」

後見制度はご本人の意思を尊重することが本旨のはずです。

しかしながら裁判所は無駄に財産を減らさないことを善しとしていますので、本人の意思の尊重という点では実際のところ少々疑問が残ることもあります。

「後見人が相続放棄を選択するケース」でも触れましたが、大人として適切な判断ができるときであれば、ご本人が遺言に従うつもりだったと思われる場合でも、後見人は遺留分を主張するのです。

ご本人の意思を尊重すると言いながら遺留分を主張してしまうということが起こりえます。することは、おかしな話です。

後見人の不正と対策制度

人様の財産を預かる後見人は、善管注意義務(民法第869条、第644条)をもって、後見人としての事務を遂行しなければなりません。

これは自分のためにするのよりも重い責任です。

それにも関わらず、不正な支出をする事件がニュースになることがあります。

2016年に内閣府が発表した資料「成年後見制度の現状」によると、2015年の後見人の不正件数は521件で、総額29億7000万円になっています。

このうち親族が後見人のケースが484件、専門職が37件となっています。親族による不正が多いのは確かですが、専門職による不正の数も年々上昇しています。

そのためご本人の財産が多い場合には、後見人を監督する後見監督人が就任する場合もあります。

その数も2015年には過去最高の選任数4,722件となりました。そのため最近では後見制度支援信託という不正を防止する仕組みを裁判所が積極的に取り入れています。

ご本人の財産を信託財産として金融機関に預け、財産管理を金融機関にさせるものです。この場合後見人は、身上監護に専念することになります。

後見人による不正を防止する仕組みの後見制度支援信託とは

2012年に後見制度支援信託がスタートしました。その趣旨は、後見人による不正を防止することにあります。

後見制度支援信託は現金化したご本人の財産を信託銀行に託し、裁判所の指示がなければ金銭を引き出せないようにするのです。

スタート当初は年間利用人数98件だったものが2017年の年間利用人数は6,563人と増え、累計の利用人数に至っては、約1万人となっています。

[caption id="attachment_4385" align="aligncenter" width="946"]後見制度支援信託の利用状況(平成24年2月~平成27年) クリックして拡大[/caption]

後見制度支援信託の利用方法

後見制度支援信託は未成年後見制度と成年後見制度を利用しているご本人が利用することができます。

ただし、保佐人や補助人がついている方や任意後見人がついている方は利用できない制度です。

新たに後見申し立ての審判があったときや既に後見人がいても後見制度支援信託が相応しいと裁判所が判断すると、後見制度支援信託を紹介され、利用が決まると裁判所が後見人に対して指示書を発行します。

後見人はこの指示書をもって信託銀行に赴き、契約の相談をするというのが、一連の流れになります。

後見制度支援信託で信託できる財産

後見制度支援信託は金銭のみを信託することができます。

従って自己所有の不動産は事前に処分し換金しておくことが必要になる場合があります。

例えばある信託銀行は、当初信託金額を1,000万円以上1円単位とし、追加信託金は5,000円以上1円単位に設定しています。

後見制度支援信託の契約締結後

あらかじめ決められた金額が信託口口座から後見人が管理する口座に送金されます。後見人はその金銭を使って、ご本人の日常の支出に使うことが可能となります。

しかし、急な病気・けが等によって想定外の出費があった場合等には、裁判所から指示書を発行してもらうことができ、それを信託銀行に持っていくことで、一時金の交付を受け取ることができる仕組みになっています。

逆に予想外の収入があったような場合は、裁判所の指示書によってその金銭を追加信託することができます。

信託金額の変更や信託の解約が必要になった場合は、裁判所の指示書があれば変更・解約が可能です。

後見制度支援信託の終了時

信託財産が残っていて、ご本人がご存命であれば、ご本人の財産となります。ご本人が亡くなっている場合は、相続財産となり相続人の方に引き継がれることになります。

信託金の運用と報酬(手数料)

ご本人の財産を安定的に運用するために、元本補てん付きで運用されることになります。

信託報酬は年2回、運用収益の中から支払われる契約が通常のようです。また 信託報酬額は、月額5,000円くらいを裁判所は考えているようです。

運用収益から信託元本と予定配当率に基づき計算した収益金総額等を差し引いた金額、つまり予定配当率を上回った分が信託銀行の報酬ということになっています。

後見制度支援信託は不正防止の切り札となるのか

後見人がご本人の財産を不正に使用することを防止するという一点において、かなりの成果を上げることができるのだろうと思われます。

信託銀行は非常に安い報酬(手数料)でこの制度を機能させるために、全てを裁判所任せにしています。

信託銀行は裁判所の指示書通りに動くため、指示書が無ければ一切何もしないのです。

後見人がご本人のために必要な支出をするためには、裁判所の指示書がなければ支払い用の金銭を手にすることはできないのです。ここには不正の入り込む隙は、ほぼ皆無だと思われます。

後見制度支援信託は本人の意思を尊重しているのか

別の角度から後見制度支援信託を見ると、成年後見制度としての本来の姿がこれでよいのか、という疑問の声があるのも事実です。

本来後見制度は、「成年被後見人の意思を尊重し(民法第858条)」て事務を遂行すべきなのです。

しかし財産を全て換金し、信託銀行に凍結するような手法が果たして「成年被後見人の意思を尊重し(民法第858条)」たと言えるのでしょうか。

後見制度支援信託は、裁判所が後見人に紹介し、後見人が利用すると決めた場合に話が進むことが前提となっています。

しかし、現実は裁判所から使うようにという指示があります。反対意見を述べることはできません。本人の意思を尊重すべきという観点と後見人の不正防止という観点のどちらを優先すべきかという難しい問題です。

「後見人とは?相続はどうなるの?」まとめ

今後、認知症の人がもっと増えるとなると、確実に成年後見制度は今以上に普及すると思えます。

後見人は、相続問題が発生した際には、しっかりと相続分を主張して財産を確保してくれます。

一方で、後見人の主張の為に、余計な争いごとに発展する可能性もあります。

また、裁判所は後見制度支援信託を普及させることでご本人の財産を守ろうと考えています。その点を理解して上手く成年後見制度を使う必要がありそうです。

「制度」を重視するならば法定後見を、「人」を重視するならば任意後見を選択することをお勧めします。

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