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投稿日:2017年04月29日 更新日:2021年03月30日
ゆーすけ |片付け部編集長
片付けが好きで、妻を巻き込んで毎週断捨離を行っています。仕事でも遺品整理、ゴミ屋敷、生前整理、不用品回収、特殊清掃の現場に行き、プロの技を学んでいます。片付けをしたい方にとって有益な情報をお伝えいきたいと思っています。
国税庁によると、平成27年度の相続税法の改正により、相続税の課税対象となった人は、前年度に比べ83%増加し、約10万3千人に上ったそうです。
課税対象者の割合は8%と、前年度の4.4%から大幅に上昇し、現行の課税方式になって以来過去最高であり、今後一層増えると予想されています。
一方、その大きな要因の一つである住宅事情に注目すれば、近年は戸建住宅よりも、分譲マンションなどの集合住宅の割合が増加しており、郊外から市街地、又は、都心部への回帰傾向も顕著です。
このため、分譲マンションの建設は、今後も増加すると考えられ、それは相続財産としても、分譲マンションの割合が益々増えるであろうことを意味します。
分譲マンションは、戸建てと相続税の計算方法が少し異なることもあり、自身の相続財産が課税対象になるのかどうか、不安を覚える方も多いのではないでしょうか?
以下に、マンションを相続するに当たり、具体的にはどんな流れになるのか、どんな点に注意しなければならないのかについて解説いたします。
マンションの相続といえども、特別な規定がある訳ではありません。そこで、まず最初に、相続が発生したら、いったいどういう人がどれだけの割合で、遺産を相続する権利があるのか、いわゆる、相続人の範囲と順位、並びに、遺産を相続する割合について見てみましょう。
一見、常識のようにも思えますが、正確にご存じの方は意外と少ないのが現実です。
相続人となる人の範囲は、民法において定められており、その人のことを法定相続人と呼びます。法定相続人となるのは、被相続人(故人)の配偶者、子、直系尊属(父母等)、兄弟姉妹で、相続する順位も法律によって定められているため、上位の相続人がいる場合、下位の人は相続人にはなれません。相続人の範囲と順位は、以下の通りです。
相続の順位 | 相続人の範囲 | ポイント |
---|---|---|
常に相続人 | 配偶者 |
|
第1順位 | 子 |
|
第2順位 | 直系尊属(父母等) |
|
第3順位 | 兄弟姉妹 |
|
相続人が複数いる場合、それぞれの相続人が遺産を相続する割合を相続分といい、法定相続分と指定相続分があります。
法定相続分とは、民法で定められた相続分のことです。相続財産をどのように分割するかは、相続人通しで話し合って自由に決めることができますが、法定相続分は、その際の目安になるもので、その割合は以下の通りです。
相続人 | 相続分 | 配偶者がいない場合 |
---|---|---|
配偶者のみ | 配偶者が全部 | |
配偶者と子 | 配偶者1/2、子1/2(注) | 子が全部 |
配偶者と直系尊属(父母等) | 配偶者2/3、直系尊属1/3(注) | 直系尊属が全部 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4(注) | 兄弟姉妹が全部 |
(注)子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数の時は、それぞれで均等に分割します。
尚、指定相続分とは、被相続人(故人)が遺言によって相続分を指定した場合の相続分のことをいい、法律上有効な遺言書がある場合には、指定相続分が法定相続分に優先します。
次に、遺産分割にはどんな種類があり、どんな方法があるのか見てみます。遺産分割とは、相続人が複数存在する場合に、被相続人(故人)の財産を分けることです。
相続が発生し、相続人が複数存在する場合は、まず遺産分割協議を行い、その証として、遺産分割協議書を作成します。
分轄の種類として以下の4種類があります。
指定分割 |
*遺言書がある場合、この分割方法が他の分割方法に優先します。 |
協議分割 |
*相続人全員の合意があれば、遺言内容や法定相続と異なる分割をすることも可能です。 |
調停による分割 |
|
審判による分割 |
*原則として、法定相続分が基準となります。 |
尚、遺産分割の方法としては、以下の3種類があります。
現物分割 | 相続財産を現物のまま分割する方法 |
換価分割 | 相続財産の一部、又は、全部を金銭に換えて、その金銭を分割する方法 |
代償分割 | 特定の相続人が相続財産を取得し、その代償として、自己の財産を他の相続人に提供する方法 |
遺産分割協議により、誰がどの財産を引き継ぐのか合意したら、その分轄内容の確認や、法的にも分割が終了したことを示す書類として、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、特に決まった形式はありませんが、以下の点に注意する必要があります。
*以上の手続きにより、相続人全員の共有であった遺産が、相続人一人ひとりの個人の財産
となります。
さて、マンションを相続された方、あるいは、これからマンションを相続する可能性のある方にとって、まず気になるのは、相続した場合に相続税がかかるのか、かかるとしたらいくらかかるのか、ということではないでしょうか?
それでは、このマンションの相続税評価方法についてみてみましょう。
相続税は、相続したマンションとか、金融資産といった、個々の相続財産にかかる訳ではありません。あくまで相続した財産すべての課税価格の合計に対し、課税されます。
一方、その相続財産の一つであるマンションを含む不動産は、土地と建物に分け、以下の計算式で評価します。
土地:路線価(1㎡あたり)×面積(㎡)…(注)1
建物:固定資産税評価額…(注)2
(注)1:路線価:国税庁が毎年1月1日を基準に7月上旬に公表する相続税・贈与税の
課税標準で、公示価格の8割程度
(注)2:市町村が3年毎の1月1日を基準に3月下旬に公表する固定資産税・不動産取得
税等の課税標準で、公示価格の7割程度
ただし、マンションは一般の不動産とは違い、1つの土地、1つの建物を、多くの人が分け合って所有していますので、具体的な評価額は、上記産出額に、各人ごとの「持分割合」を乗じて計算することになります。
<マンションの土地部分の計算式>
土地:路線価(1㎡あたり)×面積(㎡)×持分割合
*建物部分についても同様ですが、お住まいの市町村から毎年送付されてくる、固定資産税
「課税明細書」に記載されている場合は、実際に計算する必要はありません。
又、被相続人(故人)の居住用や事業用、あるいは、貸付用であった宅地を相続等で取得した場合、要件を満たすと、一定範囲の面積について評価額が減額される、「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」という制度があり、マンションについても適用することが可能です。要件が合えば利用することで、評価額をさらに減額することができます。
この、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けるには、要件を満たしたうえで、申告期限までに遺産分割を確定し、申告書を提出する必要があります。
尚、申告期限において未分割であったとしても、申告期限から3年以内に分割が確定した場合は、遡って適用を受けることが可能です。
仮に、税額軽減の適用を受けた結果、納付税額が0であっても、申告書の提出は必要ですので注意してください。
小規模宅地等の課税価格の計算の特例の適用要件は以下の通りです。
相続開始前に、被相続人(故人)自身の居住用であった場合
続開始前に、同一生計の親族の居住用であった場合
相続開始前に、被相続人(故人)の事業用宅地であった場合
相続開始前に、被相続人(故人)と同一生計の親族の事業用宅地であった場合
被相続人(故人)等が発行済株式総数の50%超を保有する特定同族会社の事業用宅地であった場合
相続開始前に、被相続人(故人)の貸付事業用宅地であった場合
相続開始前に、被相続人(故人)と同一生計の親族の貸付事業用宅地であった場合
小規模宅地等の課税価格の計算の特例の評価減の内容は以下の通りです。
利用形態 | 減額対象限度面積 | 減額割合 | |
---|---|---|---|
居住用 | 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
事業用 | 特定事業用宅地等 特定同族会社事業用地等 | 400㎡ 400㎡ | 80% 80% |
貸付用 | 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
相続税を軽減する手段としては、小規模宅地等の課税価格の計算の特例の他、「配偶者の税額軽減の制度」も活用できます。
この制度は、配偶者については、被相続人(故人)の財産形成への貢献や、被相続人(故人)死亡後の配偶者の生活への配慮から、相続税額を軽減する措置で、軽減額の内容としては、配偶者が相続した財産が、1億6千万円までか、例えそれを超えていても、法定相続分までであれば、相続税がかからないというものです。
マンションの相続に限った内容ではありませんが、もちろんマンションの相続に対しても有効です。
又、相続人が複数いる場合、配偶者が気兼ねなく、そのまま住み続けられるように配慮するという意味でも、一考の余地はあるでしょう。
さて、これまで相続が発生した場合の一般的な流れ、並びに、マンションを相続した場合の相続税評価方法と、主な相続税の軽減策について見てきました。
それでは、相続財産がマンションのみで、さらに法定相続人が複数存在する場合、具体的にはどのように分割したら良いのでしょう。
仮に相続財産が、マンションの土地建物評価額3,000万円、預・貯金500万円、相続人は、長男と次男の二人とします。この財産を、長男と次男でどう分ければ、争相族にならずに済むでしょう?
例えば、長男が自宅を相続した場合、残りの財産は500万円の預・貯金しかありません。3,000万円の不動産を長男が相続する代わりに、500万円の預貯金はすべて次男が相続するという事で、次男が納得すれば良いのですが、場合によっては、3,000万円の自宅を長男がもらうのなら、預貯金500万円の他、本来の取り分1,750万円に足りない分の1,250万円を、長男が自分に支払ってくれなければ納得できない、と主張してもおかしくはないことは、既にご理解いただいていること思います。
それでは、自宅を共有にすればどうでしょう。しかし、いずれ兄弟にも相続が発生し、権利は次世代へ移ります。
兄弟同士で共有している時は格別問題がなかったとしても、やがてこの不動産は長男と次男の子供世代、つまり、いとこ同士での共有になります。その後も次世代への相続が起こり、最終的には売ることも貸すこともできない、非常に使い勝手の悪い不動産になってしまうため、安易な不動産の共有はお勧めできません。
このような状況で相続が発生し、当事者同士の血縁も薄くなっていることから、どうしても話し合いがまとまらなければ、弁護士を入れ、裁判所に舞台を移し、法的な妥協策、つまり、原則として法定相続を受け入れるしかありません。
結局、相続財産の共有は、問題の先送りでしかないのです。
しかし、生前であれば対策も不可能ではありません。
具体的な対策は個別の状況によりますが、一例として以下の対策などが想定されます。
などです。遺言書を作成することで、まず自宅マンションを長男に渡す事ができます。
そのうえで、次男から最低限の取り分のお金を主張された場合には、長男は保険金を受け取ることができますので、その保険金から次男へ支払うこと、即ち、代償分割することが可能になるのです。
あるいは、最初から保険金の受取人を次男としておくことも考えられなくはありません。
主な「財産は自宅マンションだけ」という人ほど、争相族になる危険性が高く、又、いざ揉めてしまうと解決策が少なく、困難な事態になります。
一方、生前からしっかり対策しておけば、残された家族が争わずに済むのです。
相続に対する対策は、早い程その効果が期待できます。相続という必ず訪れる人生最大の問題をタブー視せず、生前から関係者間で良く話し合って、必要な対策をたてて置く事が何よりも重要なのです。
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